ネットワーク接続されたデバイスごとの帯域幅の使用状況を監視することは、ネットワーク管理において大変重要です。帯域幅は無制限のリソースではなく、(インターネットサービスプロバイダ、ISP、から提供される)ブロードバンド帯域幅全体が、ネットワークに接続されたすべてのデバイス間で共有されます。もし、あるデバイスが適切なレベル以上の帯域幅を使用すると、残りのデバイスで使える帯域幅は減少します。

たとえば、ISP は無制限の帯域幅を提供するかもしれませんが、追加される条件に注意する必要があります。最初の 20Gb のデータのダウンロード速度は 20Mbs であっても、次の 80Gb は 3Mb のダウンロード速度になるかもしれません。それ以降の使用可能な帯域幅のスピードは 128kb に下がることもあり得ます。個人用のプランでこういった制約はよくありますが、業務用ネットワークのプランにも同様のデータ上限や帯域幅レベルによる調節は適用されます。その 現実的な例の1 つに、サンタクララ消防署がカリフォルニアの山火事発生時に緊急サービス部門の対応を遅らせたほどの制約があった「無制限の」データプランがあります。

帯域幅に関してよく理解すれば、デバイスごとの使用状況を把握することが重要であると納得できます。そして、そのような認識は、技術者やシステム管理者だけではなく、一般社員にも共有される必要があります。トラフィックや帯域幅を分析することで、見つかりにくい貴重な情報が把握できます。常時ビデオをストリーミングしているユーザーを識別したり、あるデバイスが(ウィルス感染、セキュリティ侵害、ハードウェアの故障などによって)異常な量のデータを送信していることを検知したりすることが可能です。

帯域幅とは?

簡単に言えば、帯域幅とは時間単位のデータ転送量と理解することができます。つまり、3MB/秒は1秒あたり 3MB を送信します。1秒あたりのレートが高いほど、帯域幅が広くなります。1メガバイト(MB) は8メガビット(Mb) に相当するので、3MB と 3Mb とは同じではないことに注意してください。

Web サイト作成にあたっては、使用可能な帯域幅はホスティングプランによって異なるので、しっかり考慮する必要があります。ホスティングプロバイダに支払いを行えば、帯域幅を提供し監視することはホスティングプロバイダの責任ですが、サブスクリプションがピーク時のトラフィックにも耐えられるレベルかどうかを確認する責任は Web サイト制作者側にあります。

ネットワーク上で IP アドレスを持つすべてのデバイスは、帯域幅を使用します。Message Queuing Telemetry Transport(MQTT)プロトコル(限られた帯域幅のネットワーク上で動作するように設計された軽量なプロトコル)を使用する IoT デバイスであっても、全体的な帯域幅使用量の一部としてカウントされます。

帯域幅を理解するとき、よく使われるたとえは水圧です。家庭の水道管を考えてみてください。シャワーを使い始めたとき、水圧は十分でしょう。ですが、シャワーを使い続けていると、誰かがほかの蛇口をひねるたびにシャワーの水圧が下がります。利用可能な水の容量(水道管の直径によって決まります)が複数の「デバイス」と共有されているからです。

水道管のように、全体の帯域幅には制限があるので、帯域幅のデバイスごとの使用量を正確に把握する必要があります。もし、帯域幅が不足して業務に悪影響が出るような可能性があれば、ユーザーごとに最大帯域幅を割り当てる、ハードウェアを交換する、追加のブロードバンド接続をケーブル接続またはリースするなど、対策を講じる必要があります。

デバイス、ユーザー、IP アドレスの監視

ネットワークの稼働時間を確保することは、ネットワーク管理者の主要な任務です。ネットワークトラフィックを監視するための管理者用ツールを使用すると、その任務を遂行するのに役立ちます。そのようなツールとして、ネットワーク監視ツール 帯域幅監視ツール、ネットワークスニファなどがあり、ツールから得られる情報を活用して、すべてのユーザーに適切な最大限の帯域幅を確保できます。

トラフィックの監視は、ネットワークそのものが単純だった時代にはそれほど難しいことではありませんでしたが、ネットワークが複雑化した今日においては、実に様々なものを考慮しなくてはなりません。Wi-Fi ルーターはごく一般的になってきており、接続されているプリンタ、タブレット、ラップトップ、さらにスマートフォンまで監視する必要があります。MQTT プロトコルから Bluetooth や Wi-Fi まで、様々なプロトコルを使用する IoT デバイスやセンサーなどの監視についても検討しなくてはならず、管理者として問題の深刻さに頭を抱えることになるでしょう。

それぞれのデバイスごとに監視ソフトウェアをインストールすることは現実として不可能であり、理想的なソリューションは、セントラルポイントでネットワーク全体を監視することです。全体的な帯域幅使用率をレポートするルーターもありますが、デバイスごとの使用率がわからなければあまり有用とは言えません。デバイス、ユーザー、IP アドレス別に監視できるオプションを備えた、すべてを監視できるソリューションが必要です。

帯域幅を監視するソフトウェア

ネットワークトラフィックを監視するソフトウェアとして何を選択するべきかは、ネットワークインフラストラクチャとそれに接続されたデバイスによって異なってきます。どのような環境でも最適な唯一の帯域幅監視ソフトウェアといったものは存在しません。適切なネットワーク監視ツールを自社の環境に最も適合するように組み合わせて、ネットワークトラフィックを最適化することを目指します。さらに、不要な帯域幅消費の削減 も考慮すべきでしょう。また、パフォーマンス監視ツールを活用して、望ましいネットワークパフォーマンスを得られるようチェックしたり、パフォーマンス問題が検出されたら素早く根本原因は何かを解明して解決したりすることも必要です。

使用されているタイプ、プラットフォーム、接続プロトコルに関係なく、ネットワークに接続するすべてのデバイスの帯域幅を監視する機能を備えたソリューションが必要です。使用可能な総帯域幅が、ISP との契約で合意された速度と一致することも確認する必要があります。ダークウェブの不正使用を監視 したり、業務時間後のトラフィックが閑散な時間帯に行われるべきバックアップが日中に行われていたりしないかをチェックすることも帯域幅監視ツールで可能になります。