金融サービス業が抱える問題は、柔軟で、コストを低く抑えられ、明確なレポートを作成できる RegTech ソリューションで解決できるかもしれません。
金融サービス会社が、コンプライアンスと法規制の要件を把握して違反がないように監視するためには、多くの時間と労力を要します。ある報告では、ガバナンス、リスク、コンプライアンスのコストは、銀行運営コストの15〜20%を占めると推定されています。
金融サービスへのソフトウェア適用、ビッグデータ分析、インターネット導入などは、FinTech と呼ばれ、金融サービス業の取引、融資、意思決定に重要な影響を与えています。最近では、金融、医療、その他の市場におけるコンプライアンスと規制関連の処理を自動化する RegTech 会社が出現し始めました。
新しい資金調達モデルを開発するといった華やかさはありませんが、テクノロジーを駆使して規制に効率的に対処していこうという機運は高まっています。
FinTech 会社は銀行や金融サービス会社と競合する場合がありますが、RegTech 会社は金融機関との協業が前提です。金融機関と情報を共有して、関係するすべての組織のコスト削減や合理化、またはリスク回避などに寄与できます。
2008年の金融危機
2008年の金融危機がきっかけとなり、金融機関に対する規制が大幅に強化されました。2008年の危機から2015年後半までの間に、米国の銀行は2,000億ドルを超える罰金を科されました。この問題を解消しようとして、銀行などの金融機関は、コンプライアンスや規制リスク管理により多くの資金と労力を投入しています。
金融機関は、特に大手グローバル銀行は世界中の複雑な金融規制を遵守する必要があり、高まるコンプライアンスの必要性に対処できる効果的なツールを模索しています。RegTech 会社は、そのようなニーズを満たすための技術を開発してきました。
金融サービス会社にとってのメリット
RegTech 会社のソリューションを導入することで得られるメリットには、次のようなものがあります。
- プロセスの標準化、規制に対する不徹底の早期検出、重複の排除などにより、コスト削減やリソース消費の削減が可能。
- 企業の成長と規制要件の変化に応じて、柔軟に拡張や変更が可能。これまでのリスクモデルが不適切になり、新しいモデルが必要になった場合、それを明確に判定。
- 予定されている規制に対する予測とそれに対処するためのモデリングを準備。
- 個人情報を保護するプロセスのサポート。顧客アイデンティティ管理によって、顧客からの信頼が向上し、ブランド力も強化。新規顧客開拓にも寄与。
- 潜在的リスクとコンプライアンス関連の明瞭なレポートによって、規制コンプライアンスが容易に。
RegTech サービスの範囲
RegTech 会社は、規制コンプライアンス対処のために、比較的単純なものから複雑なものまで、さまざまなサービスを行います。
[規制変更のチェック]
規制が要求する項目は複雑な上、絶えず変更されます。地域によっても規制内容は異なります。規制のチェックを重点的に行う RegTech 会社もあります。世界全体の規制状況をチェックし、新しい規制の影響を評価し、多岐にわたる詳細な集計データを提供します。
[レポートとリスク管理]
リスクに関連するデータを集計してレポートすることも RegTech 会社のサービスです。リスクモデルを作成し、シナリオを準備し、予測するとともに、リスク管理ツールを提供します。
[クライアントとトランザクションの監視]
クライアントが常に正直で信用できるなら問題はありませんが、現実は厳しいです。違法なお金をロンダリングしたり、テロ組織に資金調達したりといったことが起こります。そのため、考えられる個々の問題に対して規制が強化されます。
クライアントの信用性を正確に判定できるよう支援する RegTech 会社もあります。リスクを最小限に抑えるために、クレジットデータやその他の商用データベース、ソーシャルメディアからバイオメトリクスに至るまで、様々なデータを照合します。
[規制の定式化]
RegTech 会社を利用するのは金融機関だけではありません。業務を合理化し、業務に悪影響を及ぼさずにリスクを削減したいという目標はどの業界にも共通で、規制当局は市場や企業の監督に自動化を適用することを望んでいます。
KYC (Know Your Customer) コンプライアンスを徹底するには高額な費用がかかります。もし組織の間でユーティリティやデータを共有できるなら、情報の取得費用を低く抑えることができます。整合性のとれた明確なデータがあれば、必要に応じて規制当局に情報を速やかに提出できます。